楽譜打ち込み 耳コピ
管弦楽での楽譜打ち込み
一番いいのは全音楽譜出版社から出ている「スコアリーディング」を読むことw。それで終わらすとこのコーナーの意味が無いので少し。
実際ネットにあるクラシック系MIDIデータでたまに見かけるのがデタラメな音が出てるヤツ。勿論楽譜打ち込みの宿命として読み間違いということもある。しかし楽譜読み間違いはMIDIデータ作成だけでなく実演でもやらかしてしまうミスである。ここでいう「デタラメな音」とはクラリネットやホルンが最初から最後まで調子外れという現象だ。これらの楽器は楽譜に書かれてる音と実際に出る音が違うことが多いのだ。一部例を種類別に羅列してみる。
音部記号 調性 トランスポーズ 備考 木管楽器 無簧
(エアリード)ピッコロ ト音 C 12 フルート ト音 C 0 フルート・ダモーレ ト音 A -3 オケで使われてる? アルトフルート ト音 G -5 バスフルート ト音 C -12 ただし「春の祭典」(「惑星」だったかな?)ではBASS FLUTE in Gといった表記がある 単簧
(シングルリード)クラリネット ト音 Es 3 幻想交響曲第五楽章が有名 クラリネット ト音 B -2 クラリネット ト音 A -3 アルトクラリネット ト音 Es -9 あまり見ない バスクラリネット ヘ音 B -2 バスクラリネット ト音 B -14 バセットホルン ト音 F -7 現在は殆ど無い サクソフォーン ソプラニーノ ト音 Es 3 クラシックでは他の調も多い.そもそもこんなに使わない.
フランス系の楽曲に使用例多い.ソプラノ ト音 B -2 アルト ト音 Es -9 テナー ト音 B -14 バリトン ト音 Es -21 複簧
(ダブルリード)オーボエ ト音 C 0 オーボエ・ダモーレ ト音 A -3 あまり使われない.「ボレロ」が有名. バス・オーボエ ト音 C -12 めったに使われない.「惑星」が有名 イングリッシュ・ホルン(コールアングレ) ト音 F -7 有名なソロ多い.新世界より第二楽章,アランフェス協奏曲第二楽章,トゥオネラの白鳥等々 ファゴット(バスーン) ヘ音
希にハ音(テナー)C 0 コントラファゴット(コントラバスーン) ヘ音 C -12 金管楽器 フレンチホルン ト音
希にヘ音F -7 フレンチホルン ト音 B -2 トランペット ト音 C 0 トランペット ト音 B -2 トランペット ト音 Es 3 トロンボーン ハ音(テナー)
希にアルト
もっと希にヘ音B 0 トロンボーンは移調楽器だが原調記譜が普通 バストロンボーン ヘ音 B 0 チューバ ヘ音 B 0 テナーチューバ ト音 B -14 「火星」での表記.多分他の記述もある 弦楽器 ヴァイオリン ト音 0 弦楽器に「調性」という概念はない(多分) ヴィオラ ハ音(アルト)
希にト音0 チェロ ヘ音
希にハ音(テナー)
もっと希にト音0 コントラバス ヘ音
希にハ音(テナー)-12 打楽器 グロッケン ト音 C 24 シロフォン ト音 C 12
かつての音部記号はト音で2種(フレンチバイオリン,バイオリン)、ハ音で5種(ソプラノ,メゾソプラノ,アルト,テノール,バリトン)、ヘ音で3種(バリトン,バス,低バス)ほどあったが、現在はト音ヘ音は1種、ハ音はアルト,テノールの2種しか使われない。専門教育の過程では学ぶらしいが。
フルート、ピッコロにはDes管も存在したが(主に吹奏楽で使われた)、現在は絶滅。
クラリネット,ホルン,トランペットはその他にも無数の調性があるので注意。実演の場合これらの楽器奏者は読み替えに長けている。
トランペットは現在でも無数の調性の楽器が入手可能だがクラリネットやホルンは大体収斂している。特にホルンはFとBしか無い、と言って良い。
トロンボーンにはアルトもあるが全て原調で書かれるためもありほとんどテナーと区別されてない。
バリトンやユーフォニアムといった管楽器はオケでは見たこと無いが、基本的にテナーチューバと同じ(はず)
吹奏楽ではトロンボーンやチューバにも移調記譜がある(個人的にはトロンボーンでは見たこと無いが)
ワグナーチューバという変な楽器も存在する。通常ホルン奏者が持ち替えて吹くので楽譜表記もホルンに準ずる。
セルゲイ・プロコフィエフのオーケストラは全ての楽器がinCで書かれている。
特殊奏法 これも沢山あるが、専門?の弦楽器を羅列
pizz. それほど特殊ではなく普通か。弓で弾くのではなく指ではじく。 col legno コル・レーニョ。弓の毛の部分でなく木の部分で叩く。幻想交響曲第五楽章とか火星が有名。 ◇ フラジョレット。一言では説明できないw。原曲をよく聴いて、としか言えないw
コンマスソロでは春の祭典第二部、オケパートでは巨人第一楽章あたりが聴き所.
その他有名な特殊奏法?
con sordino 「弱音器をつけて」だが、実際は音を弱めるのでなく音色を変えるのに使う。
ところでベートーヴェンのピアノソナタ「月光」の冒頭にはsanza sordino(弱音器を外して)とあるが、これは今で言うところの「ペダルを踏んで」である。
耳コピーのやり方あくまでも我流
これは説明が難しい。人によりやり方が千差万別なのだ。思いつくことを羅列してみよう。
カラオケで歌える?
普通はカラオケで上手下手はともかく歌えるだろう。つまりメロディラインの耳コピは誰でもできるのである。
ギター小僧は?
「うわぁあのギターかっけぇ」と一所懸命マネる、健全なギター小僧の行動であるw。
というわけで耳コピは誰でもできるのである。実際には楽器弾かなくても印象に残ったフレーズを口ずさむなんてのは良くやることだ。何も難しく考えることはない。要はメロディを口ずさむだけでなく、ベースラインを口ずさんだりギターカッティングのリズムに乗ってみたり...と延長するだけなのである。
では口ずさめたら次はどうするか?
楽譜に書いてみる
楽譜読めない人はどうする?といった話は後回し。歌うことができたメロディを楽譜にしてみよう。ちょっと地味かもしれないけどこれ結構重要なんじゃないかと思う。同じようにギターカッティングを楽譜にしたり。カッティングは厳密にはコード弾きだけどまずはリズムだけ書けば良い。
ハーモニーを拾う
恐らくこれが最も辛いところだろう。最も多いのはギターやピアノで音を探っていくやり方だ(と思う)。こんなときに「音楽理論」をかじってると音を探りやすいとは思う。理論なんか知らなくても良いという声も多いが知ってても損はしない。体系的にきっちり勉強できれは一番いいが、たかが耳コピである。そこまできっちり勉強することもないだろう。実際には聞こえる音を一つ一つ聴き取るしかないのだが。
キーが分からない?
こういう事もありそうだが、やっぱし楽器を弾きつつ確認するしかないかも。幸いMIDIでは簡単に移調できるので後で修正すれば良い。
あんまり参考にならないオレ流のやり方
耳コピ歴ン十年のワタシは上記「楽譜に書いてみる」をすっ飛ばしてる。ここに至るまでたくさん五線紙を無駄にしてきたもんだw。また「キーが分からない?」も無い。一応絶対音感があるのでこのあたりのプロセスは完全にすっ飛ばしてるのだ。今は聴き取った音を直接打ち込んでいる。ハーモニーもある程度瞬時に分かるが、ピアノなどで鍛えた音感ではないので複雑なハーモニーは試行錯誤になってしまう。楽器で音を探るのでなく実際に打ち込んで出てきた音で判断するのだ。
それから方法論の一つとしてメロディから拾うとかベースから拾うとかいろいろあるが、インスト物中心に耳コピるワタシには決まった方法は無い。ベースが目立つ音楽だったらベースを意識するしストリングスが主張する音楽だったらストリングスを意識する、それだけだ。
また実作業ではひとつのパートだけをまるまる最後までコピるということは現在では全くしない。勿論ギターを実際に弾いてみたいという耳コピでは当然ギターだけ耳コピるという用途もあるが、ワタシの目的はMIDIデータ化なんでひとつのパートだけの耳コピはしないのだ。実際には数小節毎にすべてのパートを平行に耳コピるのが普通だ。