続・絶対音感(ピッチ)(02.04.06)
とあるところで「絶対音感」の話題がでてた。例のベストセラー以来どうも一人歩きしてるような気もするが、ためしにgoogleで検索したら11600くらいでた。なんか凄い。

前も書いたみたいだけどもう1回ネタにしてしまおう。絶対音感とは大雑把にいうとピアノの鍵盤を適当に叩いてもそれがどこを叩いたのかわかるというものらしい。で、これがさらに一人歩きしてこの力を持って無いと音楽はできないなんて論調も時々見える。一方で「絶対音感」なんぞ存在しないという論もある。その論の根拠は「A=440Hz」という前提がある以上既に絶対ではない、というもの。ワシ的にはこの論がコジツケっぽくて好きだ。というのも絶対音感を論ずるには音階の定義まで持ち出さなきゃいけないのでは、と最近思うのだ。A=440Hzだとしても音階によってCやEなどの音高が違う以上単純にDとかFとか言い切るのは危険かも。正確には「A=440Hzとして平均律でのD」とか言わなきゃならないわけだ。ちなみにA=440としたとき純正律だとD=297、平均律では293.66くらいだ。かなり違う(笑)。もっともモダンピアノで出した音ならまず100%平均律だから構わないか。

細かいことをいうとワシが最近ここに発表してるMIDIデータはA=445Hzにしてある。正確な耳コピをするならそこまでやらなきゃだめだが(そうか?)、ワシには440はちと低いのだ。まぁ昔は442〜446あたりを楽曲によって使い分けてたのだが(アニメ系は442でほぼ固定、クラシック系は概して高め)、最近はメンドくなってる(笑)。それはともかく、上記純正律平均律でも音高が変わるしAのチューニングでも変わる。そういうのを考慮せずに「絶対音感は任意の音高が判る」と簡単に論ずるのはちと短絡的かな、とも思う。ここのBGM(ゴールドベルク変奏曲チェンバロバージョン)こことは癲声塵語のことの調性を予備知識の無い「絶対音感の持主」に聴かせればたぶん「嬰へ長調、あるいは変ト長調」と答えるだろう。しかし正解はト長調なのだ。なぜならここのBGMは415.3HzのAを用いてる。いわゆる「古楽ピッチ」なのだ。ホントは415まで下げたいのだがGS音源の限界...(笑)

で、問題だがA=440Hz付近といってもどこからどこまでをAとして認識ていいのかわからない。誰か答えを教えてくれ。ワシの中では435〜450くらいまでをAとして許容するがこれってかなり広い範囲だぞ。平均律的計算は関数電卓使わないとできないので(メンドくなった^^;)普通の電卓で手軽にできる純正律的に計算してみよう。450/435=90/87=1.0345だ。純正律の半音は16/15=1.0667だから半音まではいってない。1/4音くらいか(根拠ナシ。計算してない!)。
#実は純正律の半音は平均律に比べてかなり広い。念のため。
そんなヨタはともかく(長いヨタだな)、世の中の絶対音感教育というのがどういうものかは知らないが、ピアノをぽーんと叩いて「この音はなぁに?」「ラ!」なんてやってるんだとしたらちとお寒いような気がする。音の高さが判るのと音の名前が判るのは同義ではないとワシは思うよ。上記古楽ピッチとモダンピッチみたいに半音くらい違うことがあるというのもあるが、ホントは音の名を言わせるのじゃなく楽器を使って同じ高さの音を出させる方がよっぽど有意義じゃないかな。だって教育でなく”自然と沸き起こる耳コピしたいという欲望”(なんか凄ぇ表現)ってのは鳴った音がドかミかソか”当てる”のではなく「うわぁ..リッチーのギター凄ぇ...マネしてぇ」といった感情のはずだ。一生懸命ギターを弾いてリッチーのプレイを解析する、これが本来の耳コピでありレかラかシかなんてのは後回しなのだ。
ゑ、リッチーブラックモア知らない?世代差を感じる...
そんなわけで(どんなわけで)絶対音感より相対音感の方が重要だと思うのである(なんか中途半端だな)。ワシの場合なんとなく相対音感より絶対音感が勝ってるので苦労することも多い。たとえばカラオケなんかオリジナルキーでないととても歌いにくいのだ(最近カラオケしてないが)。大抵トランスポーズ機能でオリジナルに合わせるがそれができないときは選曲中に頭の中でいろんなキーで歌ってみて歌えるかどうか確認したりするのだ(笑)。 またワシがバイオリンを持っていることは再三書いてるが、ワシは小学生の低学年の頃既に絶対音感があったみたいだ。当時ついた先生はワシの耳を見抜いてしまい、音程を外したとき「耳で聴いて」修正してるのを矯正しようとわざと半音くらいチューニングをずらした楽器で練習させたのだ。当然A=440付近という思い込みで音程を修正すると「外れてる」ことになるわけだが、「左手の感覚」だけで音程を作れれば問題ないわけだ。この訓練が役に立ったがどうかはなんともいえないけど、少なくともマイナスにはなっていないかな。
そう言えば、音程と音高が途中でゴッチャになってるが(笑)、正確には違う意味だよね。音程は相対音感的、音高は絶対音感的言い回しだ。
..と、なんの結論も出さずに長文を書いてしまった。なにやってんだろうね....。

いい加減なMIDI高座