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第7回 いわゆるひとつの「現代音楽」(C)長嶋茂雄
「現代音楽」の定義付けは難しいですね。そう呼ぶのを極端に嫌う人もいます。21世紀の現在、一般的には20世紀に作られたクラシック系音楽をそう呼称しますが、ショスタコーヴィチやハチャトゥリヤンを現代音楽とはまずいいませんね。しかしメシアンあたりだど現代音楽にされることもあります。全国展開してる某H*Vあたりだと現代音楽のコーナーに入っちゃってますね。20世紀生まれの著名な作曲家をちょっと羅列してみましょう。
ロドリーゴ
ハチャトゥリヤン
カバレフスキー
ショスタコーヴィチ
アンダーソン
メシアン
バーバー
ケージ
ブリテン
1901
1903
1904
1906
1908
1908
1910
1912
1913
  ヒナステラ
ピアソラ
クセナキス
リゲティ
ノーノ
ベリオ
ブレーズ
シュトックハウゼン

1916
1921
1922
1923
1924
1925
1925
1928

ふう...誰それ?とか何故あの人がいない?という声もあるかもしれませんがこのくらいにしときましょう(笑)。こうやって見るとメシアンを「CONTEMPORARY」のコーナーに置くH*Vの見識は疑問ですね(笑)。しかしメシアンあたりは微妙かもしれませんがケージやブリテンはどうでしょう。通常ケージは現代音楽に分類されブリテンは通常の管弦楽のコーナーに置いてあります。やはり作品のイメージなんでしょうね。取りようによっては明らかな差別であり、そこら辺が現代音楽という言い方を嫌う理由でしょう。
で、どうしても現代音楽といえば「難解」のイメージがつきまといます。「難解」でまとめるともっと前の「十二音技法」の人たち−シェーンベルク(1874−1951)、ウェーベルン(1883−1945)、ベルク(1885−1935)などがずっと難解だとは思いますが、これを現代音楽という人は多分いません。
現代音楽とはなんぞや、ってなこと考えだすとそれだけで論文になってしまいそうですが、
理論が先走ってしまい、聴いて楽しいか、ってことが後回しになった。
「この音楽を理解しろ。理解できないヤツはバカだ!」とでもいいたそうな作風。
と言い切っていいのかなんですが(笑)、何となく感じるんですよねぇ。もはやハーモニーもメロディも存在しない感じですがこんな状態を日本の重鎮伊福部昭は「ブルジョワ的虚脱」なんて言い方してます。そんな時代の反動なのか新しめの現代音楽はかなり聴きやすい感じです。今回はワケワカなやつから何となくわかるヤツまで幅広く紹介しましょう。

ブレーズ、リゲティを振る/P・ブレーズ指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン/DG 439 808−2(輸入盤)
ピアノ,チェロ,ヴァイオリン協奏曲集で、ヴァイオリン協奏曲は世界初録音だそうです。リゲティと言えば「2001年宇宙の旅」に使われた「アトモスフェール」(だっけ?)が有名ですが私は持ってないみたいです。指揮のブレーズも作曲家ですが手持ちには1枚もありませんでした。
しかしどの曲も私との相性は良くないですねぇ...。私にはブレーズの指揮とは相性が悪い傾向があるので別の演奏者でも聴いてみたいです。
L・ノーノ「力と光の波のように」/S・タスコヴァ,M・ポリーニ,C・アバド他/DG 423 248−2(輸入盤)
”ソプラノとピアノとオーケストラと録音テープのための”とついてます。現代音楽ファンイチオシの名曲らしいですが私はちょっと...
と書こうと思って聴き直したらけっこう面白いです。どう面白いのか上手く説明できないのがくやしひ....せんぷれ・びぼっ!
K・シュトックハウゼン「シュティムング」/シングサークル/ハイペリオン A66115(輸入盤)
オーディオ評論家の故長岡鉄男氏の本で知って即GETに走ったモノ(苦笑)。長岡氏は「ゲテモノマニア必聴盤。普通の人は絶対に聴かないこと。マニアの人も魔よけをしてから聴くこと」と書いてるので聴いてみたんですが(爆)、なんか凄まじい曲です。世界中の神々(アボリジニの神、アステカの神、ヘブライの神、マオリの神などなど)が集まって歌ってるんですが歌詞が変。私の頬をあなたの胸にとかあなたの乳首にキスとか(笑)
手持ちはLPですがCDも出てるはずです。でもわざわざCDで買い直そうとも思わない....(^^;
H・グレツキ「交響曲第1番 ”1959”」/ベイダー指揮、クラクフ管弦楽団(と読むの?)/KOCH 3−1041−2(輸入盤)
1933年生まれのこの作曲家の交響曲は数年前大ヒットしましたが、こっちの方がぐちゃぐちゃげろげろしてます。やっぱりどう考えても次に紹介するヤツの方が一般ウケしそうですね。
H・グレツキ「交響曲第3番」/ジンマン指揮、ロンドンシンフォニエッタ/ノンサッチ 7559−79282−2(輸入盤)
こっちが大ヒットしたヤツです(盤もそのもののはず)。英国のヒットチャートでは6位まで上がったそうです。後年”悲歌のシンフォニー”とか”嘆きの歌の交響曲”といったサブタイトルが付いてますが、このオリジナルにはそんな記述はありません。
ナチスがどうのこうのといった裏もありますがそういうことを考えるのは後回しにしてまず音楽に浸ってみましょう。
S・ライヒ「ディフェレント・トレインズ/エレクトリック・カウンターポイント」/クロノス・クァルテット,P・メセニー/ノンサッチ 7559−79176−2(輸入盤)
単品CDを無理矢理まとめた感のある4枚組の中の一枚。いわゆる「ミニマル・ミュージック」の帝王?(1936年生まれ)の作品ですね。クロノスによる「トレインズ」は機関車の疾走をミニマルで表現してます。
パット・メセニーの名に驚く方もいるでしょうが、「エレクトリック〜」で名人芸を披露してます。ちなみにこの曲はカウンターポイント三部作の最後に当たり、他には「バーモント・カウンターポイント」「ニューヨーク・カウンターポイント」というのがあります。
この盤はライヒ最大のヒットらしいですね。
映画「キャリントン」オリジナルサウンドトラック/M.ナイマン/ポリドール POCL−1627
アニメサントラと違って映像は全然知らないんですが(笑)、マイケル・ナイマン(1944年生まれ)は映画音楽が多いんですよね。そんなわけでクラシックと見るかポピュラーとみるか微妙なところですが、「現代音楽は難解でなければいけない」という定義があるとしたらこれはポピュラーですね。かといってイージーリスニング的には聴けません。
J・アダムス「シェーカー・ループス」/アンサンブル・モルデン/RCA BVCC−789
ジョン・アダムスは1947年生まれですから今回の中では一番若いですね。この曲は1978年に弦楽七重奏として作られましたが1982年に弦オケに改変されました。弦オケ版の方が好き(手持ちはケント・ナガノ盤)なんですがCDがどっか埋まってしまった(苦笑)んでつい最近入手した弦楽七重奏版です。
サ・ビートルズ/東芝EMI CP25−5329・30
通称ホワイトアルバムですがまた唐突な(笑)。最後から2曲めの「Revolution 9」がミュージックコンクレ−ト(具象音楽)ですね。一応レノン−マッカートニーですがジョンとヨーコの作品です。ビートルズの前衛というとジョンの印象が強いですが当初はポールが先んじて勉強してた、とどっかで聞いたことがあります。

いやぁ自分で書いててなんだけど濃ゆいわ(苦笑)。ケージやペンレデツキやデュティユーやウォルトンも入れたかったし(!!)邦人作曲家も入れたかったんですがまたの機会に。



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