銘盤迷盤冥盤


第8回 組曲「展覧会の絵」(ムソルグスキー)
友人の画家の遺作展を見たムソルグスキーがその印象を音楽にしたものです。もともとはピアノ曲ですがあまりピアニスティックな表現でないことなどから敬遠されてました。しかしボストン交響楽団の指揮者だったセルゲイ・クーセヴィツキー(ロシア出身でもとはコントラバス奏者)の委嘱によりモーリス・ラヴェルが管弦楽に編曲してから有名になりました。その後原曲のピアノ版も引っ張られて人気が出てきましたねぇ。以後いろいろな編曲が現れてますが(ラヴェル以前にも編曲はあったらしいですが)結構いろいろあるんで適当に紹介します。

ヴァレリー・アファナシエフ(Pf.)/DENON COCO−9046
1991年6月録音。オリジナル・ピアノバージョンです。が、この演奏は超個性的です。なんと自作の戯曲になぞらえて演奏しているのです。初めて聴くピアノ版としてはお勧めできません(苦笑)。
クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団/DG F35G 50159
1981年11月録音。最もオーソドックスなラヴェル編曲です。2度目の変ロ長調のプロムナードをカットしてます。演奏そのものはやや渋めかな。
レオポルド・ストコフスキー指揮、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団/ロンドン(キング) KICC−8608
1966年頃録音。LPで持ってたんですがCDはつい最近入手しました。ストコフスキー自身の編曲ですがこれはもう豪華絢爛たる感じですね。しかしよく聴くとラヴェル版よりスラヴ的ロシア的だと思います。ロ長調および2度目の変ロ長調のプロムナードの他、「チュイルリーの庭」、「リモージュの市場」をカットしてます。
LPの時はドビュッシーの「沈める寺院」とのカップリングでしたが(ドビュッシーもストコフスキーの編曲)このCDは「はげ山の一夜」などとのカップリングです。
ウラディーミル・アシュケナージ指揮&Pf.,フィルハーモニア管弦楽団/ロンドン F35L−50311
1982年6月,9月録音。アシュケナージのオリジナル編曲です。アシュケナージ自身の演奏による原曲とのカップリングですんで聴き比べに最適(なのかな?)。これはラヴェル編曲でカットされたプロムナードが復活してます。なんでもラヴェルが編曲時に参照した楽譜には間違いが多いのでそれを校訂した楽譜を元に編曲したのだそうです。でも残念ながらあんまり面白い編曲とは思えないですねぇ。
山下和仁(Gt.)/BMG BVCC−37291
1981年3月録音。「火の鳥」とのカップリングです。セゴビアが「古城」だけをギターソロに編曲してますが(昔ラジオで聴いただけ)全曲編曲(プロムナード1曲を除く)は快挙というか暴挙というか...。凄いテクニックだとは思いますが、なんか暗いんですよねぇ(苦笑)。ピアノ版から、というよりラヴェル版からの編曲に感じます。
冨田勲(Synth.)/RCA R32C−1041
おなじみトミタシンセ第2弾。「卵の殻をつけたひなの踊り」がなんといっても楽しいです。立場のひっくり返った「サミュエルゴールデンベルク」も秀逸。中の解説には「前作ドビュッシーと同じくピアノを素材にして..」とありますがラヴェル版からの編曲に近い感じです。
展覧会の絵/エマーソン・レイク&パーマー/ビクター VICP−60741
あれ、手元のは輸入盤だと思ってた(笑)。有名なロック版ですね。EL&Pの名を一気に広めました。原曲に忠実な編曲ではなくかなり自由な解釈で、彼らのオリジナルも挟まれてます。

ストコフスキー盤とアシュケナージ盤のジャケットにあるのが「キエフの大門」ですね。またよく見るとアバド盤にも見えます。「展覧会の絵」というとこれをジャケットに使うことがけっこう多いですね。トミタのオリジナルLPおよび現行CD、山下のオリジナルLPもそうだったんじゃなかったかな?
この他フィリップジョーンズブラスアンサンブル版も持ってたと思うんですが手元にないので今回は外します。こいつはカット無しです。
このコーナーのBGMの「プロムナード」はラヴェル以降没にされることの多い部分を適当にオーケストレーションして使ってます(笑)。



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