銘盤迷盤冥盤


第13回 24のカプリース作品1(パガニーニ)
第11回の「ジャズマンはバッハ...」取材中?に「平均律クラヴィーアは鍵盤楽器の旧約聖書(新約はベートーヴェンのピアノソナタ)」などという話を聞きました。言ったのはハンス・フォン・ビューローだとか。そんなら私が愛するヴァイオリンはどうでしょう。ヴァイオリンにとっての旧約は第9回でやった「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタ&パルティータ」、そして新約は今回取り上げる「24のカプリース」だと私は思います。すでに同じことを言ってる有名人もいるかもしれませんし違うことを言ってる有名人もいるかもしれませんが。

この曲の作曲年代ははっきりしません。一説によると1805年ころとか(出版は1820年)。その当時からもロマン派の音楽家(リスト、シューマン、ブラームスなど)を刺激し20世紀になってからもラフマニノフやルトスワフスキなどに霊感を与えて続けています。

なお24曲揃えたのは鍵盤楽器のそれのようにすべての調性を揃えたというものではありません。全部で十数種持ってますが適当に厳選して....(日本語に矛盾がある?)。史上初の全曲録音のルッジェーロ・リッチ盤を紹介したかったのですが見つからなかったのでこれから...

マイケル・レビン/EMI TOCE−1548
1958年4月録音。おそらく史上2番目くらいの全曲録音です。レビンは1936年5月生ですから録音時22歳直前ですね。残念ながらこの人は35歳の若さで事故死しました。20代前半の録音が輝いてるそうですがこれも輝いてます。
サルヴァトーレ・アッカルド/RCA BVCC−8835〜36
1962年録音。「ラ・カンパネラ」やヴィオッティの協奏曲とのカップリングです。アッカルドは1941年生まれですから21歳くらいの録音ですね。さすがパガニーニの再来といわれただけのことはあります。この録音ではパガニーニが使用した楽器を用いた、と昔聞いたことがありますが、その後書かれたことがないのでウソなんでしょう(^^;。ジャケットに写るアッカルドはこの当時の”新進気鋭”ではなく昨今の”巨匠”になった姿ですね。
サルヴァトーレ・アッカルド/DG 463 754−2(輸入盤)
1977年5月録音。アッカルドがDGに残したパガニーニ全曲集(6枚組)です。さすがに上記62年盤から15年たっての再録音なんで熟成度が違います。なおこれLPでも持ってたんですがCD化に際し楽譜通りあったリピートをカットしてます(怒)。アッカルド自身1988年に校訂をやってますがその楽譜ではこうなってる...ってことは多分無いでしょう。オリジナルLPは2枚組で3面以上カプリースで占めてます。ということは絶対CD1枚には入りませんからねぇ。
シュロモ・ミンツ/DG F35G 50015
1981年8〜9月録音。ミンツ23歳くらいの録音ですね。最初に入手したデジタル録音盤です。リピート無しでやってるのに最後の24番だけは執拗にリピートしてますね。今日では12小節のテーマのうち最初の4小節を繰り返し次の8小節は繰り返さないのが一般的だと思うんですがこの演奏では繰り返してます。まぁ聴き慣れれば良いのでしょうが。
五嶋みどり/SONY SRCR 9236
1988年12月録音。MIDORI17歳。若い!。切れ味鋭いですね。最近はこれをよく聴きます。

前に癲声塵語あたりでも書きましたがクレーメルが全曲録音を残してないんですね(多分)。全くの偏見ですがこういう曲は若いうちにやって貰いたいです。諏訪内晶子や庄司紗矢香に期待。

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